>>>> 2005     February
         Atelier Hana

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ルーベンスよりわが子がかわいい。
手がかかるけどね(泣)。

 

2005.2.18

NHK番組でダリをやっていた。空想遊び。海辺。屈託。孤独。
原点が重なった。小学生でダリの画集に見入っていた時代。
ガラというパートナーあって富と名声を得たというのは間違いないけれども
彼の創作意欲の源はパッションであった、それがなければダリ自体が、まずありえなかった。

奇異でありながら、物憂げな郷愁と甘美さを忘れないダリの作品は強烈な精神世界を映す。
ひとことでいえば、またひとつのロマンチシズムを貫く。

そうして、わがアトリエに、灯りをつけてやりかけの30号を眺める。
30号。小さい絵だ・・・。
でも国立西洋美術館で見たギュスターヴ・モローも、かなり小さかった。

水彩画の新作をUPした。やはり、芸術とイラストは、大分違う。

お金のために割り切って働いたいろんな仕事があったけれども
結局は情熱を傾けることができなければ不誠実な気がした。
そのことを覚えておかねば。
オフィスの外で雲が流れ木々が呼ぶといって心が野に遊ぶ。
詩情が湧き上がる。
キャリアウーマンには、なれなかったはずである。

2005.2.18

薬局でクロワッサン誌を手に取る。「無駄のない生活」特集。海外の生活を紹介。
センスのいい暮らしかあ。あこがれるけど、これって身についたものかなあ。
とにかく私の代からでもこういう生活に近づかなくてはねえ。
そのなかにオランダのレンタル画廊の記事があった。
50年の歴史を持つこの画廊ではアートをリースしていて、
買取にも応じるという。無利子ローンで。
こうした仕組みがアートの環境を支えているという。
そしてその所有する2/3が貸し出し中だという。個人に。

絵を飾る前に絵の飾れる環境にしたいというのが多くの心境だろうけど。
まず、ものを買うときセンスの悪いものを買わないということなんだろうね。
お金はかかるけどそれで環境をよくしたと思うことかな。

それにしても絵もすでに王侯貴族のいない今日、美術品であることは邪魔だったりする。
美術品も社交の道具だったという意味で需要があったけど
今では美術について語る社交なんて、ありえない。(悲しい)
その点、モダンアートは適当に驚いて、それがいくらしたか、どこで買ったかという話にできる。
社交のネタになるし、先端的だということはその「ビジネスマン」「事業家」にとって
ものすごく「これからの企業、目先のきく人物」という評価になっていくのだと思う。

芸術家からみるとものすごく不毛だけど、現実はまちがいなくそういう雰囲気。
美術は死んだのだろう。そしてアートに拡散した。

多分この道で生きていこうと思ったら、ルーベンスもセザンヌも扉の向こうに押しやって
モダンアートらしきものに挑戦するしかないのかもしれない。
モダンアートを売って芸術を純粋に追求するなんて、可能だろうか?
世の流れに流されていくのも必要なんじゃないか、なんて考えてみる。
一度はやってみてもいいかもしれないけどね。。。

2005.2.17
そう、天気がいいと洗濯物ホシ、フトンホシ、という待ったなしの用事ができる、
子供を外に連れ出し、用事もまとめて・・・そうするうちに、おやもう4時?!
今日も描けなかった。。。となってしまう。
今日はそんな日。

昨夜は夫が電話で遅く帰ると連絡してくれたので、段取りがついて
わが子を寝かしつけたあと22時半すぎてアトリエで続きをやった。
昼間ほど進まない。夜中に筆を洗ってベランダに干しにいくのはものすごく寒い。

 

2005.2.16

寒い、みぞれの降る一日。わが子を外遊びにつれていけない。
そして美術館で名画にふれたせいか、制作意欲が漲って、とにかくとりかかる。
足もとで子供が本を散らかす、おかまいなく、じゃれついてくるのを「はいはい」といいながら。
仕事にならないとはこのことだけど、結果、昨日より進んだことは違いない。
しかも思った以上にいい感じに。一筆の集中力、それが絵に力を与え、魔法をかけるのだと
つくづく思う。いくら時間があっても漫然と塗り絵をするのではとうてい及びつかない。
そういう意味で、今までの自分の人生をつくづくもったいなかったと思う。

とはいえ、ルーベンスの名画の中であどけなく眠る子供たちよりも
自分の子供のあの嬉しそうなまなざしを受けとめた瞬間のほうが、
はるかにいとおしい、ということだけは確かだ。

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2005.2.15

夫が遅く出勤する日なので、たまっていたごみ出しを頼んだりして
それだけで余裕ができた。
天気も良いので思い立って国立西洋美術館に出かけた。
出かけるといっても弁当を作って1歳の子を連れて中央線に乗り・・というのは気合がいるもの。
行きなれた上野の無料休憩所で弁当を食べ、食べさせ、ぐずるわが子を人目かまわず
ゆすって寝かせ・・・。美術館に入館してからもなにやかやと子供の世話をやき
常設展に入場したのは2時半。

松方コレクションをひととおり見ることができた。
個人でこれだけコレクションできる人がいたのだ。
それだけでリッチの世界を見た気がした。

ロダン。激しい。少し生々しい表現に、とまどう。
20代にはなんともなかったけれど、30代になってからはロダンは激しすぎるかんじ。
中世のイコンがなかなか美しかった。10代のころは良さがわからない世界だった。
青が素晴らしい。衣装の青、希望のような雲の切れ目の青、物語る青。
そして17世紀くらいからの油絵の豊かな発展に、心が弾んだ。
また、ルーベンスを間近にみたのは初めてだった。何度も何度も見た。
何度も見たというのはおかしいが、
結局、モダンアートとこれらの絵画との違い、私をひきつけてやまないものは、
何度も胸打たれるこの感覚なのだろう。

古典作品に共通する神々しさ、畏敬、憧憬、情感、遥かなるもの。
画家は心を見つめ画布に神聖なる仕事をなし、
一瞬の啓示を丹精こめて再現する。
卓抜した技術を鍛えるためになされた修練を思うと、全く自分ははずかしい。

そうしてモダンアートにやってきた。ピカソ。ミロ。たしかに面白い。
面白い世界を油絵の世界に与えた彼らは大きな存在。

ただ、モダンアート、インスタレーションなんていうようなものも含めて
私がいつも感じる「退屈さ」はいったい何なのだろう。
もはや、日常の延長という部分だから?
日常的な使い捨てのイベント企画という・・・。
そして「あなたの目をびっくりさせてみましょう」という
ショービジネス的な企みと、富と名声に対する性急な欲望が
いつもその背後に透けて見えるからだろうか。

とにかく、 ルーベンス他諸々はまぎれもなく美術品で
そういう画の美の至福が、ギャラリーのほの暗い空間に厳かにたちこめていた。


2005.2.14

子育てをしていると、文字通り「自分のことは何にもできない」ときがある。
数ヶ月なのか、数年なのか。
自分の仕事やキャリアを築きたいと思えば、子育ては外注する以外にない。
でも、それは「自分の」仕事やキャリアだと思える仕事を持っている人に言えることで、
たいていの人は自分の本分とは思えない仕事に従事しつつ子育てを外注している。

それが生きるということなのだそうだ。
私がそれを受け入れることができるのはいつの日になるのだろう。

画家というのは子育てを外注するお金のない職業。
夜泣きと睡眠不足と慢性的な時間不足に沈みつつ、焦りも感じる。
子供が小さいときは始終疲れていたがそういうものだと思っていた、と
ターシャ・テューダーは言っている。
外注しないで「両立する」というのは、そういうものらしい。
仕方のないときは、仕方がないのだ。

とにかく、自分のことはなにもできない、という時期が誰にでもあり、
それでも目標は見失わないで時期を待つというのが肝心なのだろう。

2005.2.5
「絵」と「アート」の違いなどについて考えてみた。
多くの人がそれについて考えるのだろうけど。
解ったことは、私は「絵」は好きだが「アート」(特に現代アートや空間アートの類)は好きでない。
ということ。
何も私に限ったことではないと思う。
だから「アート」に擦り寄っていこうとするよりも「絵」が好きな多くの人々に受け入れられるのが
絵で生きていけるヒントではないかと思う。
ファッションも好きだけれど、奇抜なものより見るたびに溜息の出る美しさを誇る
オートクチュールが好き。
今や「絵画」も「オートクチュール」も風前の灯火だけど、
結局、シャラポワみたいな典型的な美女が復活しているところから見ると
人々は結局戻ってくるのだと思う。

何より、絵が私をひきつけるのは画家と絵画の対話にほかならない。その深い精神活動にほかならない。
そこにはu○万とか、「どうよ!」とこれでもかと驚かせようとする意図とは無縁の、
あの深く味わい深い境地に引き込むなにものかがある。
それが絵画、私を魅了してきた絵画であろう、と思う。

2005.2.4

  

 

 春先の憂鬱にとらわれ、体も動かない。画家とはいえ子連れで児童館に行って他の子供と遊ばせたり
買い物に行く姿は主婦。
でも売れない男の画家がいたとして同じ事をしていたら、「実は僕、画家です」というのは納得がいき、
女が「実は私画家なんです」といっても理解してもらいにくい。というのが現実。
(言ったことはないけど)



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